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ルンペンストーブ

2011年11月30日水曜日

四四人

 今日のように暖房器具として電気・ガス・石油ストーブが当たりまえという以前の話である。

 人々が暖をとる主流は薪ストーブ・石炭ストーブであった。家の軒先には薪が整然と積まれていたし、各戸には貯蔵のための石炭小屋なるものが設置されていた。そしてその薪や石炭の配達に馬車が活躍していた光景を思い出す。

 石炭ストーブにも色々あり、火種を絶やさないために貯炭式なるものがあって朝起きてデレッキでつつくとまた赤々と燃えだす方式のものであり、いちいちガンビの皮(白樺の皮)で火を起こさずに済んだ。

 中でも強烈な印象なるものに、ルンペンストーブというのがあった。ルンペンというのは今でいうホームレスを意味していたから、この名の由来は今でも疑問に思っている。黒い筒型で直径50cm、高さ80cm位で上蓋と上下に空気調整孔しかない簡素なもので取っ手が付いていてある程度灰(あく、燃えカス)がたまると煙突から外し、近くの路上に設置されていた灰(あく)捨て小屋に運んで、ひっくり返して捨てるのである。

 そして新しい石炭を上まで一杯詰めて、薪と新聞紙をその上に載せて再び火をつけるのである。

 ちょうど寒い夜工事人やホームレスの人がオイル缶に薪などをくべて即席にストーブを作り、股あぶりしている光景を連想すると、なんとなく共通性があり、この呼び名もうなずけるものがある。